Thierry Richoux / ティエリー・リシュー数世代にもわたって、ロヨ・リシュー家は葡萄栽培に携わってきました。 1960年、ジュヌヴィエーヴとジャン=クロード・リシューーは、イランシーの畑で家業 を継ぐことを決意しました。そして1970年半ば、彼らはイランシーにおいて葡萄栽培だけに従事する先駆者となっ たのです。 家族たちに助けられながら、彼らは成長を止めることなく少しずつ畑を拡大し、彼ら の顧客を増やしていきました。 そして、アペラシオン“ブルゴーニュ・イランシー”としての赤とロゼの自社元詰め が出来るまで経済成長を遂げたのです。 1998年、ティエリーは両親の引退を受けて彼の妻コリーヌと、家族経営の会社組織を 立ち上げました。 現在、拡大された畑は比較的若く、新たに手を加えられています。 最も重要と考える剪定、ピノ・ノワール種のクローンをより良いものに変えること。 彼は品質を向上させるための労力は惜しみません。 今日では、彼は18ヘクタールのピノ・ノワールと1ヘクタールのガメイを所有して います。 ガメイからは主に、ブルゴーニュ・パストゥグランとラタフィアを造っています。 近年は2〜3ヘクタールの畑かをクレマン・ド・ブルゴーニュに充てています。 クレマンの畑の葡萄は、カーヴ・ド・バイィに収穫を任せ、瓶詰してカーヴ・ド・バ イィに売却されます。 収穫は伝統的な方法で、とりわけ細心の注意を払います。 葡萄はすべて手作業で選別、除梗をしながら収穫されます。 一年のうちでもっとも重要なこの時期、およそ12日間何人もの収穫人を必要としま す。 この10年の間というもの、葡萄の樹に情熱を注ぐ様々なアプローチのおかげで、品 質が伴って上昇してきています。 これは彼らにとって永遠の課題なのです。 2000年からは、土壌の力を得るために土地に対する仕事に沿って、除草剤の使用を廃 止しました。 そしてイランシー本来のテロワールを精密に表現するために、畑の雑草を含めてコン トロールする方法を選択しています。 彼のワインは父の教えを守り、飲み頃を迎える順番にリリースされます。 醸造・熟成:収穫はすべて手摘み。選果台で厳しく選果され除梗します。 シリンダー型のステンレスタンクにて温度管理をしながら15〜20日間発酵。 圧搾しフリーランジュースとプレスジュースをブレンドしてから熟成。 若いワインはステンレスタンクで1年寝かせます。 その後、228Lのオーク樽と55hlの大樽に移します。 |
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2013 Bourgogne Rose 土壌:キンメリッジ階の粘土石灰質土壌 南南東向き ブドウ品種:ピノ・ノワール100% 樹齢:6〜70年 通常のロゼはセニエと呼ばれる方法で造ります。 しかし、2013年は、12〜20時間の短い浸漬後、3分の2をセニエ、3分の1を直接圧搾で造りました。 私たちのロゼは酸度と果実味が高く、アルコールとタンニンが低くなる最も若い区画から造られます。 醸造:培養酵母を用いず、17〜19度で1週間アルコール発酵。マロラクティック発酵は2月に起こりました。 2週間かけて清澄し、軽く濾過して3月に瓶詰め。 |
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2010 Irancy 土壌:キンメリッジ階の粘土石灰質土壌 南南東向き ブドウ品種:ピノ・ノワール100% 樹齢:6〜70年 私たちがイランシーに所有する複数区画から造られます。2010年はビオロジック栽培元年となりました。 収穫は手摘み。畑で最初の選果を行い、選果台でさらに厳しく選別します。100%除梗。空圧式プレス、果汁はアッサンブラージュ後、10カ月ステンレスタンクで熟成。 通常は冬から春にかけてマロラクティック発酵。 収穫後、1年間樽熟成したものとアッサンブラージュします。 |
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2009 Irancy Veaupessiot 土壌:キンメリッジ階の粘土石灰質土壌 南南西向き ブドウ品種:ピノ・ノワール100% 樹齢:7〜60年 このキュヴェは2003年から造りはじめたイランシーのリュー・ディー(小区画)名を 冠したワインです。 南と南西に向いて日照に恵まれたおかげで早く葡萄が完熟する、2ヘクタールにしか 満たない区画です。 通常キュヴェの収穫期、ヴォーペッシオの完熟した葡萄のみを合間合間で見極めてそ の都度収穫していきます。 葡萄の完熟度の判断が最も注意深く気を使う作業なのです。 完熟した葡萄のみを丹念に選びぬいた結果として、スペシャルキュヴェにふさわしい ワインが造られるのです。 24〜28カ月という長い熟成を経て後、瓶詰めされます。 このワインはクリマの特徴がはっきりと表れた、最もエレガントなワインです。 しかしながらヴォーペッシオは、本来の力を発揮するまでに5〜6年の熟成を必要とし ます。 |
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【メディア情報】
ティエリー・リシューは長年、除草剤を使用するのではなく畝のあいだを鋤くやり方で畑の世話をしてきた。彼の 畑は現在、有機農法への転換中である。ブドウは手摘みされ、選果台で選り分けられる。除梗して仕込んだワ インはタンクまたは大型の古い木樽で2年間熟成される。よく熟したブドウ、低収量、周到な仕込みと瓶詰め前 の長期熟成という組み合わせが果実味豊かでしなやかなワインを生み、そこには多くのイランシーにありがち な顕著なタンニンがない。2002年まで、ティエリー・リシューはパロットの区画からワインを造っていたが、現在 では隣のヴォーペシオにかわった。ここは、「杭の谷(吸血鬼ではなくブドウ栽培が語源)」[谷の名前 the valley of the stakesのstakesは、吸血鬼を退治するために打ち込む杭を意味することがある]と言われ、ブドウ畑として文献にあらわれるのは1861年のことである。 白水社『ブルゴーニュワイン大全』ジャスパー・モリス著 |