DE BOEL FRANCE（ドゥ・ボエル・フランス）というやや風変わりなドメーヌの名前は、ベルギー人のArnaud DE BOEL（アルノー・ドゥ・ボエル）とブルターニュ出身のNelly FRANCE（ネリー・フランス）、夫婦二人の苗字を組み合わせたものです。 ニュージーランドでのワイン造りを通じて出会った二人は、フランスへ帰国後、最も好きな品種であるシラーからワインを造るため、2016年にローヌにドメーヌを設立しました。 フランス最初のレストラン、遭難した漁師が生き延びるために食べ続けたエビ、飢餓に面した人々が動物園の動物を食べる……などなど食べることが大好きな夫婦の造るワインのエチケットとキュヴェ名は、すべて食に関するユーモラスな小噺に題をとっています。
受け継いだ土地や家族などに縛られず、自分たちの理想とするワインを造る。という、ニューカマーならではの能動的なアプローチが、完成された一皿のようなワインをつくり出しています。
- より自然に。ワインも、それ以外も。
ワイン造りを始めるに際し、有機農法、ひいてはビオディナミを実践するという選択は、二人にとって当然の前提でした。 それは、ちょうど時を同じくして産まれた息子にも、体によく、美味しいものを口にしながら育ってほしい。という想いが、夫婦の中で共有されていたからです。 ローヌ渓谷を一望する、美しい丘の上のドメーヌを中心として繰り広げられる彼らの生活は、自然に包まれた、穏やかさと厳しさの二面性をあわせ持ったものです。 普段は幼い子供たちの遊び相手を務める裏庭のカモ、ニワトリ、そして羊は、畑に出ると、よき相棒として雑草や害虫を退治してくれます。 ワイン畑の隣に設けられた家庭菜園では、土壌や気温、密植に対する野菜の反応を観察する実験が繰り返され、そのフィードバックはワイン造りに生かされます。そしてもちろん、その友達、相棒、収穫された野菜はみな、ワインとともに家族の食卓に並ぶこととなります。
- 三つ星が認める”食いしんぼう"のワイン
ドゥ・ボエル・フランスのワインを語るうえで外せないキーワードは"グルマン"（食いしんぼう）であることでしょう。 出会った次の日から、ふたりで食べ物の話ばかりしていたと語る当主夫婦は、畑かカーヴにいないときは、台所かテーブルにいます。 隣の農場から豚を一頭丸ごと買い上げ、鮮やかな腕前でソーセージやハム、リエット、テリーヌを作ってしまう食いしんぼうコンビの造るワインには、料理で磨かれた優れた味覚、バランス感覚が生かされています。 フランスを代表するグルマンであるアンヌ＝ソフィー・ピックやジョルジュ・ブランといった三つ星シェフがこぞって彼らのワインをレストランに採用してることが、なによりの証拠といえるでしょう。
- 畑について
ドメーヌは、コルナス、サン・ジョセフといった貴重なアペラシオンを含む合計14haの畑を所有しています。 ビオディナミで営まれる彼らの畑の輪郭は厳密ではなく、りんごや桑といった果樹がぶどうのすぐ隣に植えられ、一帯が多種多様な昆虫や動植物の生息の場となっていることが見てとれます。 栗の木を用いた棒仕立てにより、ぶどうが1,8mほどの高さまで蔓をのびのびと伸ばしている様子とあわせて、ぶどうが本来成長する森の中の風景を思わせます。 収穫は、同じ土地の伝統派をギョッとさせるほど早いタイミングで行います。 複雑さをもたらすのに十分な果実の熟度は確保しながらも、必要以上の糖度の上昇をおさえ、近年のローヌワインにともすると欠けがちな酸を残すことに成功しているため、口当たりはどのキュヴェも静かで繊細、エレガントな印象です。
- 醸造について
マセラシオンの温度や期間を調整し、低圧で優しくプレス。キュヴェごとに必要とする以上のタンニンの抽出は行いません。アッサンブラージュは彼らの真骨頂といえるでしょう。あたかも熟練のシェフが一皿を仕上げるかのように、自分たちが手塩にかけて育てたブドウの個性を最大限引き出してゆきます。 エルバージュにはステンレスタンク、4年以上の大樽(600L)、アンフォラの三種類を用いています。 アンフォラは壺型と卵型を使い分け、滑らかな"食感"と評してもよい口当たりを実現しています。
Jasus Lalandii Côtes du Rhône Blanc
ヴィンテージ：【2023】
葡萄：グルナッシュ・ブラン95％、ルーサンヌ5％
畑・土壌：沖積土
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク発酵・熟成。
味わい：丸みのある果実味、フレッシュで、硬質なミネラルを伴います。
花やミネラルの戻り香。ヨードを伴う余韻。
Jasus Lalandii（ジャスス・ラランディ）はインド洋のセント・ポール島に
生息する多産なロブスターの１種です。ミネラル感、白い花、塩味を伴う
余韻。ロブスターや手長海老との相性は抜群です。バトナージュ由来の
膨らみが受け止めます。
Rue des Poulies Saint-Joseph Blanc
ヴィンテージ：【2022】
葡萄：マルサンヌ50%、ルーサンヌ50%
畑・土壌：花崗岩
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク発酵・熟成。
味わい：エレガントな花の香り、ストーンフルーツ、ヨード。丸みがあって豊潤、花崗岩由来のフレッシュでミネラルのある骨格。しなやかで重さがなく、塩味を伴って広がり持ち上がるような余韻。
Rue des Poulies（プーリー通り）、それは1765年、フランスで最初となるレストランがあった通りの名前です。エチケットは当時、テュルゴーによって描かれた平面地図です。セーヌ川、ルーヴル美術館、そしてプーリー通り（金色で線が引かれています）。
Le gras c’est la Vie ! IGP Méditerranée
ヴィンテージ：【2022】
葡萄：グルナッシュ55％、カラドック35％、カリニャン10％
畑・土壌：青い泥土
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク発酵・熟成。果実味を保ち、
酸化防止剤の添加もごく最小限に留めています。
味わい：フレッシュで瑞々しい果実、しっかりとした構造、しなやか
で滑らかなタンニン。
Le gras c’est la vie! （豊満！それこそが人生だ！）全てが語られています。週末を費やしてシャルキュトリー、豚肉、血のソーセージやパテ、リエットを造る、今や失われつつある伝統への賛辞です。喜びの時間であり、家族や友人たちと陽気に喜びを分かちあうワインの精神が宿っています。
Aleph Côtes du Rhône Villages Massif d' Uchaux
ヴィンテージ：【2021】
葡萄：シラー60%、グルナッシュ40%
畑・土壌：石灰質砂岩
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク発酵。600リットルの
ドゥミ=ミュイの樽とアンフォラで10か月熟成。
味わい：黒果実、ブラックベリー、ブラックカラント。ダークチョコレートの風味、黒オリーヴ。
Aleph（アレフ）とはフェニキア語のアルファベットの最初の文字で“牛”を意味します。逆さまのAは牛の角を表しています。
Assiégés Côtes du Rhône Villages Massif d’Uchaux
ヴィンテージ：【2021】【2022】
葡萄：グルナッシュ50%、シラー40%、カリニャン10%
畑・土壌：沖積土、青い泥土
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク発酵。600リットルの
ドゥミ=ミュイの樽とアンフォラで10か月熟成。
味わい：純粋な果実味。エレガントで黒果実の花の香り、紫の花、ガリーグ。
1870年、プロイセン軍に包囲されたパリ市民の物語。飢餓が猛威を振るうなか、動物園の動物を用いた前代未聞のメニューが誕生した物語。
Rue des Poulies Saint-Joseph
ヴィンテージ：【2022】
葡萄：シラー100％
畑・土壌：花崗岩
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク発酵、6～9年の古樽熟成。
味わい：深みのある色調、赤と黒のエレガントな果実とスパイス。豊かな味わい。ベルベットのようなタンニンを含む果実とスパイスが美しく複雑に絡みあう。風が吹き抜けるようなフレッシュさ、フィネスを持った余韻。
Rue des Poulies（プーリー通り）、それは1765年、フランスで最初となるレストランがあった通りの名前です。エチケットは当時、テュルゴーによって描かれた平面地図です。セーヌ川、ルーヴル美術館、そしてプーリー通り（金色で線が引かれています）。
Ars Magirica Cornas
ヴィンテージ：【2022】
葡萄：シラー100％
畑・土壌：花崗岩
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク発酵、7～9年の古樽熟成。
味わい：深みのある果実、スパイス、スミレのエレガンス。濃密でしなやか、黒い果実とスパイス、塩味とミネラルを伴ったワインです。
Ars Magirica 紀元前1世紀、ローマ皇帝の贅を尽くした料理人マルクス・ガビウス・アピシウスが著した料理大全の名前と言われています。美食と乱痴気騒ぎを愛し、すべての財産を料理と芸術の追及に費やしたアピシウスに敬意を表して。
L’Ultime Repas Super-Syrah Vin de France
ヴィンテージ：【2020】【2021】
葡萄：シラー100％、コート・デュ・ローヌ、コート・デュ・ローヌ ヴィラージュ マッシフ・デュショー、サン・セシル、サン・ジョセフ、コルナスから選りすぐりの葡萄。
畑・土壌：砂岩、青い泥土、花崗岩
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク、40％古樽発酵・熟成。
味わい：スパイシーで複雑な黒系果実、噛み応えのある果実味。
L' Ultime Repas（最後の晩餐）このシラーは、私たちの畑のシラーの素晴らしいヴィンテージの結晶です。コート・デュ・ローヌ南部の区画、コート・デュ・ローヌ ヴィラージュのサン・セシルとマッシフ・デュショー、サン・ジョセフとコルナス。モザイク状の特別なキュヴェで、どのAOCにも当てはまりません。
ルルティム・シラーは私たちが愛するシラーの全てを表現しており、私たちの畑が与えてくれる美しい景色そのものです。
Je vous Adore Méditerranée Rosé
ヴィンテージ：【2022】
葡萄：カラドック100%
畑・土壌：沖積土、青い泥土
醸造・熟成：天然酵母、ステンレスタンク発酵・熟成。
味わい：柑橘果実と赤い花のエレガントな香り。ふくよかさを兼ね備えたエレガンス。爽快な構成、花、柑橘、ドライですが丸みがあり、塩味を伴う余韻。
私たちがこの地域で畑仕事をしていた時、地元の農夫の方にかけられた言葉です。
この土地にぶどう畑が復活することを見るのがどれだけ嬉しいことか。
私はあなた方を受け容れます！
この言葉の強さが胸に響き、私たちを受け容れブドウ畑の復活を歓迎してくれた地元の方に感謝を込めて造りました。
普遍的な愛の讃歌です。草花の花束を畑に捧げブドウ畑はまた強くなるのです。