ボルドーから流れるガロンヌ河の上流域に連なるシュッド・ウエスト地方は、その品質と価格のパフォーマンスにおいて、注目を浴びています。
しかし南西地方のワインという名で、この異なる伝統を持った産地に共通したスタイルを見出すことはできないでしょう。
なぜなら共通した土着品種もなければ、歴史も、土壌もすべて異なるモザイク状のテロワールがそこには存在しているからです。まさに【フランスの新世界】と言える新しい流れが生まれてきているのです。
地の個性、この土地の人々が培ってきた意思、そして私達の感覚と情熱のマリアージュを反映させているのです。
ガロンヌ河右岸に位置し、海洋性気候の影響で温暖で湿気が多いというブドウにとって最適な条件を持つコート・デュ・マルマンデは、エリアン・ダ・ロスを始め新世代の台頭が著しい注目のアペラシオンです。
シャトー・ラッソルは2002年、ロームシュタイン(Romestaing)の地にステファニー・ルーセル(Stephanie Roussel)女史によって設立されました。
ステファニー女史は元は経済学、法学を学んでいました。しかし、ワインの世界に惚れ込み、ボルドーのビストロで働いた後にヴィニュロンの道へ進みました。
畑はボルドー、ソーテルヌ地区から続く砂礫土壌に石が混じります。
1947年、1960年に植樹されたマルマンデ伝統の古木であるアブリュー(果肉まで赤いタンチュリエ品種、コー、フェルセルバドゥー、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローが除草剤、化学肥料、合成肥料なしで育てられています。そして、フィロキセラ禍によって接ぎ木を施していない樹齢100年を越える古木、フラン・ド・ピエのセミヨンとカベルネ・フランが彼女をこの畑の虜にしました。
彼女を導いたのはブルゴーニュの母、ラルー・ビーズ・ルロワ女史です。ビオディナミによる栽培方法はルロワ女史に師事しています。土地の特徴、そして畑と土中の生態系を尊重することでワインにテロワールを転写するのです。
2013年ごろより、イタリア産の卵型アンフォラタンクを採用し、増やしています。
この卵型はφ黄金比率によって形成されており、角が無い形状のため、手を加えることなくアンフォラの中でジュースが自然と滞留し循環するのです。そのため、人為的なピジャージュを施すことはありません。また、適度な酸化を促すことにより、ワインに緊張感を与えます。
当初4個から始めたアンフォラですが、毎年3~4個増やしていく予定です。
現時点(2015年)ではアンフォラ100%によるキュヴェはありませんが、将来的に目標としています。
シャトー・ラッソルではマセラシオン・カルボニックは施しません。土壌の特徴をより鮮やかに表現するためにはマセラシオン特有の香りは避けた方が良いという判断です。
基本的には全房で発酵させますが、成熟度の高いヴィンテージは過度なタンニンを避けるため除梗します。破砕はごく軽く、もしくは一切しません。
Ad Naturam , Blanc Vin de France
ヴィンテージ【NV(2020+2021+2022) 】
ブドウ品種:2018年50%と2020年50%、それぞれソーヴィニヨン・グリ70%、ソーヴィニヨン・ブラン30%
畑・土壌:畑はセパージュごとに栽培、土壌は全てソーテルヌ地方から続いている赤いグラーヴ・砂礫の脈。標高は200mほど。
醸造:収穫は手摘み。2018年、ソーヴィニヨン・グリは収穫後、直接圧搾。粘土製卵型タンクで発酵、12か月熟成。ソーヴィニヨン・ブランは直接圧搾後、砂岩質卵型タンクで発酵、12か月熟成。ブレンドしてアンフォラ12か月熟成。2020年、ソーヴィニヨン・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン共にステンレスタンク発酵。収穫後、醸造、熟成、瓶詰め時SO2添加せず。濾過・清澄せず。ポンプを用いず重力で瓶詰め。
2018年の熟したブドウの濃厚さ、ミネラル感、旨味とオキシダティフ(酸化)の香りが2020年のフレッシュ感、酸味とバランスがとれている。オキシダティフ(酸化)の香りが少し、塩っぽさ、熟した梨、桃、リンゴと柑橘系のアロマ。
ラテン語で“自然に還る”の意味。フランス語でDNAを意味するADN。細胞の世界、命の根源というメッセージ。
La Blanc qui tente Vin de France
ヴィンテージ【(2017+2018)】【NV(2019+2020+2021)】
ブドウ品種:セミヨン100% 収穫量:2017年:10hl/ha 2018年:20hl/ha のブレンド
“誘惑する白ワイン”別の捉え方で“挑戦的な白ワイン”2017年(20%)、2018年(80%)
樹齢:109年。接木されていないフラン・ド・ピエ。今は根が深さ22メートルまで達している。
畑・土壌:ソーテルヌ地方から続いている赤いグラーヴ・砂礫の脈。
収穫:(2017年)手摘み。(2018年)手摘み。
醸造・熟成:(2017年)全房のままプレス後、低温でデブルバージュ。セメントタンク発酵。
ドイツ製砂岩質卵型タンクで4か月間熟成。
バトナージュせずアルコール発酵。
(2018年)全房のままセメントタンク発酵。発酵中にプレス後の果皮を少量加え1か月半浸漬。
2017年とブレンド後、ドイツ製砂岩アンフォラで12か月間熟成。その後ステンレスタンク熟成。
Rouge d’Amphore Vin de France
ヴィンテージ【(2018+2019)】
ブドウ品種:アブリュー100%
畑・土壌:二つの区画。樹齢84年と23年。
土壌は全てソーテルヌ地方から続いている赤いグラーヴ・砂礫の脈。標高は200mほど。
醸造・熟成:手摘み収穫。葡萄をケースごと4日間冷蔵室で寝かせ、その間に酵素発酵が始まる。
35%を全房のまま直接圧搾、果汁をアンフォラに入れ、残り65%を一緒に入れてそのまま25日間醸。
全体を圧搾後、2018年の同じキュヴェとアッサンブラージュ。そのまま5か月間セメントタンク熟成。
“アンフォラの軽い赤、濃いロゼ”の意味。ルージェは赤(ルージュ)とロゼを掛け合わせた造語。
赤でもなくロゼでもないため、ルージェがキュヴェ名となりました。2018年15%と2019年85%のブレンド。
2018年は霜、雹害が多く生産量は少なかった半面、熟度が高く凝縮した葡萄が生まれました。
2019年は収穫量も多く、フレッシュ。健全でバランスのとても良い葡萄です。
“アンフォラの軽い赤、濃いロゼ”の意味。ルージェは赤(ルージュ)とロゼを掛け合わせた造語。
赤でもなくロゼでもないため、ルージェがキュヴェ名となりました。
Fee Main Vin de France
ヴィンテージ【(2017+2018)】
「Fait Main(手作り)」と「Fee(妖精)」を掛け合わせた名前のワイン。
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン60%(17年が25%、18年が35% 樹齢45年)、アブリュー40%(18年のみ樹齢80年)
畑・土壌:土壌は全てソーテルヌ地方から続いている赤いグラーヴ・砂礫の脈。カベルネの区画は粘土石灰質。
醸造・熟成:カベルネ・ソーヴィニヨンは、17年、18年ともに、全房のままステンレスタンクで8~12日間の低温マセラシオン・セミ・カルボニック。発酵後コンクリートタンクでMLF。
アブリューは、除梗した葡萄でピエ・ド・キューブ(醗酵のスターター)を作る。
その上に破砕せずに全房の葡萄を投入して、8~12日間の低温でのマセラシオン・セミ・カルボニック。
ステンレスタンク。バトナージュ、スーティラージュせず。
2018年5月に全てをアッサンブラージュして7月に瓶詰。濾過も清澄もせず。
瓶詰め時SO2添加せず。
Lassolle Rouge Vin de France
ヴィンテージ【NV(2012-2017)】
ブドウ品種:自根のカベルネ・フラン80% (その内の70%が2014年、30%が15年と16年のブレンド) マルベック、フェルセルバドゥ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、アブリューで20%(樹齢40年以上)
畑・土壌:土壌は全てソーテルヌ地方から続いている赤いグラーヴ・砂礫の脈。
醸造・熟成:収穫は手摘み。各品種を別々に醸造。除梗しない全房の葡萄で醸造。
カベルネ・フラン:(樹齢100年)80%の内訳が14年70%、15年+16年30% 2014年と2015年は、除梗、破砕無しで20日間の醸し・ルモンタージュあり・古樽熟成 2016年は、除梗、破砕無しで20日間の醸し・ルモンタージュあり・アンフォラ熟成
他の20%の品種は2012年からソレラをスタートさせている。
マルベック、メルロー、フェルセルバドゥ:混醸造、除梗無し破砕無しの全房、セメント・タンクで醸し、プレス・ジュースを使用
カベルネ・ソーヴィニョン:除梗する。破砕無し。アンフォラで醸し。フリーランジュースのみ使用。今回のロットにはメルローとフェルセルバドゥの2017年(10hL)もブレンド。コンクリートタンクでアルコール発酵を終了させそのまま6か月熟成。
2018年3月に瓶詰。 瓶詰め時SO2添加せず。
ラッソルで栽培しているすべての黒葡萄品種を使って造られるカジュアルな赤ワイン。
ソレラ・システムのように毎年新たなヴィンテージを継ぎ足すことによって、フレッシュ感を与え、より複雑で深みのあるワインに仕上がっています。
Ad Naturam Rouge Vin de France
ヴィンテージ【(2017+2018)】
ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン70%(17年75%、18年25%:樹齢30年)、アブリュー30%(18年:樹齢80年)
畑・土壌:土壌は全てソーテルヌ地方から続いている赤いグラーヴ・砂礫の脈。カベルネの区画は粘土石灰質。
醸造・熟成:収穫は手摘み。各品種を別々に醸造。除梗した葡萄をステンレスタンクで2週間低温マセラシオン。
破砕せず。アルコール発酵が終わるころ圧搾、セパージュ毎にドイツ製砂岩質アンフォラでアルコール発酵を終了させる。
2017年のカベルネ・ソーヴィニヨンはドイツ製砂岩質アンフォラで20か月間の熟成。バトナージュもスーティラージュも行わない。
2018年のカベルネ・ソーヴィニヨンとアブリューは、同様のアンフォラで9カ月間の熟成後アッサンブラージュして3か月間コンクリートタンクで熟成。
その後ヴィンテージもアッサンブラージュして更に3か月間コンクリートタンクで熟成。
濾過も清澄も施さず。瓶詰め時SO2添加せず。
ラテン語で“自然に還る”の意味。フランス語でDNAを意味するADN、細胞の世界、命の根源というメッセージ。
Just Juice Vin de France
ヴィンテージ【(2019)】
ブドウ品種:メルロー30%(樹齢70年)、マルベック30%(樹齢50年)、カベルネ・フラン30%(樹齢100年)、残り10%がアブリュー(樹齢80年)、フェル・セルヴァドゥ(樹齢70年)
畑・土壌: 土壌は全てソーテルヌ地方から続いている赤いグラーヴ・砂礫の脈。標高は200mほど。
醸造・熟成:メルロー、マルベック、アブリューとフェル・セルヴァドゥは混醸。除梗なし、破砕なし、全房。
ステンレスタンクで30日間マセラシオン・セミ・カルボニック。圧搾後セメントタンク熟成。
カベルネ・フランは除梗するが破砕せず、ステンレスタンクで10日間低温マセラシオン。
ブレンド後熟成。醸造、熟成、瓶詰め時のSO2添加なし。
“果汁だけ”という意味。
Coup Franc Vin de France
ヴィンテージ【(2017+2018+2020)】
ブドウ品種:カベルネ・フラン 100% (2017年15%、2018年45%、2020年40%)
樹齢:70年~100年以上。接木されていないフラン・ド・ピエ。
樹齢100年以上の樹はフィロキセラに耐えられた。今は根が深さ15メートルまで達している。畑は約1ヘクタール。半分は100年以上前に植えられた。もう半分は1948年に最初の半分の葡萄の木の枝をマルコタージュ(取り木法と呼ばれる、フィロキセラ禍前の栽培方法)で植えられたもの。
畑・土壌:ソーテルヌ地方から続いている赤いグラーヴ・砂礫の脈。標高は200mほど。(馬による畑耕作)
醸造・熟成:
2017年 とても良い年で醸し期間が長め。除梗。破砕はせず。ステンレスタンクで14日間低温浸漬。発酵を終えるまで21日間マセラシオン。ピジャージュせず。発酵後に圧搾。ブルゴーニュ産の古樽で12か月熟成
2018年 雹害のため醸し期間を短くする。除梗して破砕はせず。ステンレスタンクで8日間低温浸漬。発酵を終えるまで14日間マセラシオン。ピジャージュせず。発酵後に圧搾。2017年とブレンドしてセメントタンク30か月熟成。
2020年 除梗して破砕はせず。ステンレスタンクで15日間低温浸漬。発酵を終えるまで21日間マセラシオン。ピジャージュせず。発酵後に圧搾。50%を砂岩質水平アンフォラで6か月熟成。50%をコンクリートタンクで6か月熟成。
2017+2018の熟成中にSO2を2g/HL添加。瓶詰め時には添加せず。
2021年3月に2017+2018とブレンド。3カ月タンク熟成後に瓶詰め。濾過・清澄せず。重力で手動瓶詰め。2019年は霜害が酷く、収穫量が少ないため葡萄は使用せず。