レポート≪Pierre Boure&Fils≫

いつもお世話になっております。
㈱オルヴォーの村岡です。

今年も幕張メッセで行われたFOODEXに併せて弊社取り扱い生産者達が
来日いたしました。
来日した生産者達の魅力を少しでも感じていただけるようレポートと
してお送りさせていただきます。

第1弾はPierre Boure&Fils

ピエール・ブレ・エ・フィスのジャン=クリストフ・ヴァレ氏に話を伺いました。

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*ジャン=クリストフ氏(眼鏡を新調しました)

Jean-Christophe Vallet ジャン=クリストフ ヴァレ氏
1958年11月27日生まれ 射手座
ワインとしては恵まれない年に生まれましたが、男としてはグレイ
トヴィンテージです。(本人談)

1864年から続くピエール・ブレ家。
フランスでは来客を招いた際のパーティーに子供は同席させませんが、
ジャン=クリストフ氏は幼少の頃より訪問客に挨拶だけは毎回していた
と言います。

12歳頃から畑に出て畑仕事を手伝っていました。
幼い頃より異国文化との交流が盛んだったため、16歳のころは国際的な
ジャーナリストになりたいと考えたこともありました。
今でこそ、ブルゴーニュのヴィニュロン達が海外で研修することも多い
ですが、私の時代はほとんどありませんでした。
今では兄のベルナールが畑を、私が醸造の決定権を持って、互いに話し
合いながらワインを造っています。

ドメーヌ兼ネゴシアンであるピエール・ブレ。
ピエール・ブレのワインとして最も有名なものはジュヴレ・シャンベル
タンのモノポールとなるクロ・ド・ラ・ジャスティスです。
しかし多くの生産者がするようにドメーヌ物とネゴシアン物の区別はおろ
か、モノポール表記までエチケットからはその情報が載せられていません。

『私はワインは子供のようなものと考えています。自分の畑から生まれた
葡萄も余所の畑から生まれた葡萄も私の子供なのです。』

ネゴシアンとひとくちに言ってもまちまちで、葡萄で買い付けることもあ
れば、果汁で買い付けることもありますし、オスピス・ド・ボーヌのよう
にアルコール発酵まで終わったものを買うこともあります。

あなたの場合はすべて葡萄で買うのでしょうか?

『基本的にはすべて葡萄で買います。葡萄の買い付け元は私の考え方を
理解してくれている長い付き合いのあるところから買っています。
彼らは畑仕事において除草剤は使わない、植密度を高くするなどの私たちの
考え方を理解してくれています。物によっては手摘みで収穫してすぐに近く
の醸造所に運び、私の立会いの下で目の前でプレスして果汁の状態にしてか
ら改めて私たちの醸造所に運ぶものもあります。例えばAOCブルゴーニュの
白などはそうですね。』


白ワインの醸造はどのように行っていますか?

『私たちの白ワインは除梗をしないでプレスします。すべて天然酵母による
樽発酵です。アルコール発酵が終わると澱と共にシュール・リー状態で樽熟
成させます。旨味をしっかりと感じるのは澱を撹拌するバトナージュに由来
するものでしょう。
白ワインにとって澱はとても大切なものだと考えています。人間でいうなら
澱は手足のようなもので、これがあるからワインの個性が出来ると考えてい
ます。白ワインの果実に由来する味わいを大事にするため新樽比率は20~25%
程度に留めています。』

ブレ家の白ワインを誤解を恐れずに例えるのならば澱がらみの日本酒に通じ
る旨味がたっぷりと乗ったワインのように感じます。
試飲した多くのお客様達もブレ氏の白ワインに驚いていました。

中でも、知名度は低いものの、ふくよかな果実味が中心となったマルサネ・
ブランはコート・ドールの北端ながらムルソーを思わせるようなバランスで
した。

『ムルソーとマルサネに共通点を感じたのは非常に鋭い着眼だと思います。
まず、土壌はムルソー同様にやや粘土質が多い土壌になります。そのためオイ
リーな仕上がりになるのです。
また、私達のマルサネ・ブランは伝統的なムルソーと同じ醸造方法を採ってい
ます。そのためマルサネとムルソーの白には共通点が多いのかもしれません。
例えるのなら、洗練されたチーズと農家のチーズのような違いがあります。
構造はよりマルサネの方が素朴になりますので、繊細な料理よりは素朴でシン
プルな料理と合わせるのが良いと思います。』


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では、赤ワインの醸造について話を移します。
木樽発酵、とりわけ開放式の発酵槽というのは現在、あまり使う人はいないと
思います。これには理由があるのでしょうか。

『私たちは比較的長い時間をかけて醸造をします。これは私たちのメゾン・
ピエール・ブレに代々伝わってきた伝統的な方法なのです。木製の開放式発
酵槽もその伝統的な方法のひとつにすぎません。
私たちは出来るだけ自然な形で果実を生かしたいと考えています。
そのため除梗は一切せずに、木製の開放式発酵槽で天然酵母でマセラシオン・
カルボニック、アルコール発酵を行います。昔ながらの足でピジャージュを施
すのも私たちの伝統的な手法です。』

除梗をせずに全房で発酵させる造りは毎年全てのワインに共通しているので
しょうか?

『はい、そうです。例外としてフィサン、そしてシャルム・シャンベルタン。
この二つのワインに関しては全房発酵から来る強い構造や色調がテロワールの
個性を覆い隠してしまうと考えているため、すべて除梗しています。
私達はその区画の葡萄の全てを入れることが大事だと考えています。
写真のようにひとつの区画に例外的に植わっている白葡萄もその土地の個性と
考えていますので、すべてを一緒に扱うのです。
ヴィンテージによって除梗をしたり全房にしたりということはしません。』


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2009年のブルゴーニュような日照に恵まれた年は、果実味に溢れ、早くから楽
しめる反面、ともすると構造が緩く、生産者によっては長期熟成の可能性に疑
問を投げかけている人もいる。

『2009年のような年はとりわけ、果梗などのフェノール類が成熟しています。
私達のワインは非常に長期熟成すると考えています。私達はワインに対して過
度な抽出は一切しません。樽のニュアンスや過度な抽出による濃さはピノ・ノ
ワールの個性を覆い隠してしまうと考えています。発酵もひとつの段階がしっ
かりと終わってから次の段階へ進ませます。決して短期間で多くのことを求め
ません。子供を育てるようにひとつひとつの行程を大事にしています。
発酵中も基本的には無理な温度管理はしません。新樽比率は最大でも20%程度
です。228リットルの樽で18~24カ月の長い時間をかけて熟成させます。』

ブレ家のワインに共通するのは穏やかな果実味と優しいタンニン、そしてその
優しい表情を支えるような芯のある構造は、今の時流ではないかもしれません。
しかし、経年熟成によるワインの味わいの浮き沈みが小さく、適度に熟成した
ブルゴーニュを求める時に選択肢のひとつに挙がる造り手です。
素材を生かしたシンプルな料理との相性の良さも、長年ご支持をいただいてい
る理由のひとつでしょう。

6月には下記アイテムも入荷予定となります。

2009 Bourgogne Blanc

2009 Bourgogne Rouge

2001 Cote de Nuits Villages

2004 Santenay Rouge

1997 Gevrey Chambertin

2009 Gevrey Chambertin Clos de la Justice

1999 Volnay 1er Cru

2005 Charmes Chambertin Grand Cru

2001 Chambertin Grand Cru

(価格はまだ未定)

楽しみにお待ちいただければ幸いです。