社内試飲レポート

いつも大変お世話になっております。
㈱オルヴォーの村岡です。

新着ワインとなりますDomaine Francois Lamarcheの2008年ヴィンテージ
そしてDomaine Henri Delagrangeの2009年ヴィンテージの
社内試飲レポートをお送りいたします。
ご参考いただければ幸いです。




Domaine Henri Delagrange
Volnayに本拠地を置く生産者、アンリ・ドゥラグランジュ。
オート・コート・ド・ボーヌはポマール近郊の丘陵から生み出されます。








2009 Bourgogne Hautes Cotes de Beaune Chardonnay
エッジが透明に近い淡いイエロー。
09年ヴィンテージとしては予想していたより色調は淡い。
抜栓直後から開放的なアロマ。
柔らかい樽香、スモークやオートミール。完熟したレモン、白い花。
ポマール近郊というよりシャサーニュ・モンラッシェ村を思わせる。
時間と共に柑橘類の香りがあがってきます。
口に含むといっぱいに広がるレモン、ライムなどの果実味があり
溌剌とした酸味が支えています。
現時点から美味しく、構造がやや緩く感じるほどですが
余韻まで続く心地よい酸味のおかげでバランスの欠点を感じません。

2009 Bourgogne Hautes Cotes de Beaune Pinot Noir
エッジ赤みがかった明るいルビー・ルージュ。
抜栓直後からジャムにする前の煮込み始めたイチゴや花の香りが溢れ出ます。
到着直後のためかスワリングするとやや還元的なニュアンスも出ますが、
時間と共に白コショウを思わせるスパイス香に変わり、香りに幅を与えます。
口に含むと非常に柔らかく、噛みごたえがないため一瞬薄く感じるほどです。
チェリー類の赤系果実を中心に奥から香木を思わせる香り、白コショウの風味が
混じります。酸味がやや低く、構造も穏やか、新世界的な果実実ではなくブルゴ
ーニュらしいしなやかな果実味が現時点から楽しめるワインとなっています。

例年と比較すると果実の香りが明瞭に感じられ、酸味に攻撃的な要素がありま
せん。しかしアンリ・ドゥラグランジュらしい穏やかな構造は健在で早くから楽しめ
る2009年のスタイルでありながら過剰さのない綺麗なスタイルに仕上がっています。




Francois Lamarche
特級畑La Grande Rueの単独所有者として知られる名門ラマルシュ家。
2006年より娘ニコルに代替わりを始め、すべての作業を手作業にするなど
ヴィンテージの特徴よりもドメーヌの進化が著しい造り手です。
畑の場所は素晴らしいけど、造りは…と揶揄されていた時代は終わりました。







2008 Bourgogne Rouge
エッジ赤みがかった深みのあるルビー・ルージュ。
チェリー類を思わせる赤系果実を中心に、ヨードのようなミネラル香、革、イチゴミルクなど
抜栓直後から予想以上に様々な香りが感じられます。
時間と共に果実の香りが強く、甘く感じられるようになります。
口に含むと、強くはないものの量が多いため前面に感じられる酸味があり、
コショウなどのスパイスやハーヴ類のアクセント、赤系果実があります。
AOCブルゴーニュとしては複雑さを伴う構造があり、
若いタンニンを伴う余韻へと続きます。
スケールの小さなヴォーヌ・ロマネ的なバランスを持っています。
数カ月落ち着いた時の表情が楽しみなワインです。

2008 Hautes Cotes de Nuits Rouge
エッジ赤みがかった深みのあるルビー・ルージュ。
Bourgogne Rougeに比べると抜栓直後はややアロマが低く感じます。
スワリングすると白コショウや日本のサクランボ、
時間と共に石灰を思わせるミネラル香が出てきます。
口に含むと、酸味、果実味、タンニンのキメがとても細やかで
Bourgogne Rougeと比べると酸味が多くなくバランスが良く感じます。
ミネラルの風味が加わり、標高の高いこのアペラシオンの特徴が
2008年ヴィンテージの美点を描いています。

2008 Vosne Romanee
エッジ赤みがかった深みのあるルビー・ルージュ。
抜栓直後よりほのかな樽香、バニラ。
スパイスや熟した赤系果実などの香りが渾然一体となっています。
香りの時点で各要素が溶け込んでおりバランスの良さを思わせます。
時間と共に熟したカシスやブラックベリーの黒系果実のニュアンスも混ざります。
口に含むと、舌触りがとても滑らかで甘い果実味が層になって現れます。
ヴォーヌ・ロマネらしい球体的な立体感を感じます。
余韻に残るタンニンと酸味に若さを感じますが、決して強くはないため
現時点でもバランスが良く、前者ふたつのワインよりも凸凹がありません。
試飲前の予想を良い意味で大きく裏切ったワインです。
村名ヴォーヌ・ロマネとしての期待に今から応えてくれるでしょう。
価格を考慮しても非常にお薦め出来るワインです。