事務所試飲会レポート

6月10日に開催した、事務所試飲会レポートとなります。

遠方よりわざわざ足を運んでいただいたお客様もいらっしゃいました。
この場を借りて改めてお礼を申し上げます。

ラインナップはブラインド含む全18アイテム。
※ドメーヌ・クードレ (ラングドック・ルーション)
1,ヴィオニエ ヴァン・ド・ペイ・ドック 2008
2,ミュスカ・セック ヴァン・ド・ペイ・ドック 2006
3,カベルネ・ソーヴィニヨン ヴァン・ド・ペイ・ドック 2008

※ドメーヌ・ロッシュ・ビュイシエール (ローヌ)
4,プティ・ジョー ヴァン・ド・ターブル(2007)
5,ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・デ・バロニー 2007
6,ル・クロー コート・デュ・ローヌ 2007

※ドメーヌ・ラトゥール・ジロー (ブルゴーニュ)
7,ブルゴーニュ アリゴテ 2006
8,ブルゴーニュ シャルドネ 2006

※ドメーヌ・アンリ・ドゥラグランジュ (ブルゴーニュ)
9,オー・コート・ド・ボーヌ ブラン 2007
10,オー・コート・ド・ボーヌ ルージュ 2007

※ドメーヌ・デ・ルージュ=キュー (ブルゴーニュ)
11,オー・コート・ド・ボーヌ ルージュ 2007
12,マランジュ 2007

※ドメーヌ・パラン (ブルゴーニュ)
13,ブルゴーニュ ピノ・ノワール 2006
14,ボーヌ プルミエ・クリュ レ・ゼプノット 2006

※ピエール・ブレ (ブルゴーニュ)
15,マルサネ ブラン 2004
16,ジュヴレ・シャンベルタン クロ・ド・ラ・ジャスティス 2004

以下2アイテムは先入観なく試飲していただくためブラインドにて提供。
※ドメーヌ・シルヴァン・パタイユ (ブルゴーニュ)
17,ブルゴーニュ ブラン レ・シャピトル 2006
※ジャック・パラン (ブルゴーニュ)
18,ラドワ コート・ド・ボーヌ 2001
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当日、ご来場いただいたお客様の感想と、当社スタッフによる各ワインの
コメントをまとめました。

1:ヴィオニエ ヴァン・ド・ペイ・ドック 2007(ドメーヌ・クードレ)
参考上代¥1,700

緑がかった淡いイエロー。
ローヌのヴィオニエに見られがちな薬品的な香りはなく、完熟したグレープ
フルーツなどを思わせる柑橘類を砂糖漬けにしたような甘味を伴った香り。
口に含むと溌剌とした酸味を柔らかく果実が覆って、余韻にヴィオニエらしい
ほのかな苦みがアクセントとなり、食欲を刺激します。
過熟したヴィオニエにありがちなコッテリ感がなく、夏場でもお薦めできる
ヴィオニエです。ヴィオニエ嫌いなスタッフも、これだけは飲めるとコメント。
料理との相性の幅広さも魅力的で、弊社スタッフからはこの柔らかい酸味
と香りから酸味を効かせた春雨サラダ、白身魚の粕漬けといった料理を連
想しました。
オルヴォースタッフTお薦めワイン

2:ミュスカ・セック ヴァン・ド・ペイ・ドック 2006(ドメーヌ・クードレ)
参考上代¥1,650

緑がかったイエロー。
ミュスカで造られる甘口ワインを想起させる甘い香りが支配的、マスカット、
洋ナシキャンディー、時間とともにミントやシダのような清涼感ある緑の香り。
口に含むと、ハッキリとした存在感ある酸味、柔らかい果実味があり軽い
収斂性を伴った余韻へと続きます。
非常にドライな味わいで、香りとのギャップが魅力のひとつです。
料理との相性はシソのような和のハーブに合わせてちらし寿司、パクチーに
合わせた生春巻きから、塩ホルモン焼きまでアジア系料理の意見が多かった
です。

3:カベルネ・ソーヴィニヨン ヴァン・ド・ペイ・ドック 2008(ドメーヌ・クードレ)
参考上代¥1,650

エッジに紫がある深みのあるルビー。
アメリカンチェリー、カシスリキュール、ナツメグ、ブルーベリー、ユーカリ、
カベルネ・ソーヴィニヨンらしい黒系果実や青さを感じさせる香り。
口に含むと、やや大柄な若いタンニン。
ともすると酸の低い果実味によった味わいになりがちなラングドックですが、ラング
ドックの中でも寒暖の差が大きいミネルヴォワを本拠地にしているためか、クードレ
のワインに一貫して見られる、引き締まった構造は赤ワインにも共通して見られる
特徴で、セールスポイントです。
タンニンを噛みしめると奥から甘味を感じることができ、これから数年は楽しむこと
が出来そうです。ユッケ、牛肉握り鮨など生肉に頭が行ってしまいました。

4:プティ・ジョー ヴァン・ド・ターブル(2007)(ロッシュ・ビュイシエール)
参考上代¥1,900

エッジに紫がかった色調の濃いルビー。
アメリカンチェリー、完熟した甘い濃密な黒系ベリーの香りがたっぷり。
チューインガムのようなマセラシオン・カルボニックに由来する香りがありますが、
その香りは醸造に由来するアロマというよりは、ロッシュ・ビュイシエール香とで
も呼ぶべき、果実の芳香性の非常に高い、彼のワインの特徴的な香りです。
2006年とは異なり、グルナッシュ100%で造っています。
天候に恵まれた2007年ヴィンテージの恩恵もあるのでしょうが、それ以上に
年々進化する彼のワイン造りの才を感じさせます。
例年と比べスケールが二回りほど大きくなり、パンパンに詰まった生き生きと
した黒系果実、噛みごたえのある柔らかい甘味のあるタンニン。
溌剌とした酸味がその奥でしっかりとボディを支えています。余韻に清涼感の
あるミントやハーブを思わせる香りが鼻を抜けていきます。日本の薬味的な
合わせ方でも面白いと思います。

5:ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・デ・バロニー 2007(ロッシュ・ビュイシエール)
参考上代¥2,400

エッジに紫がかった濃いルビー。
完熟した甘い芳香性の高い香り。ベリー、生チョコレート、黒系果実、イチジク、
桑の実。ロッシュ・ビュイシエール香は全開です。
聞きなれないヴァン・ド・ペイ名のこのワインはカベルネ・ソーヴィニヨンとメル
ロー半々のブレンドワイン。
セパージュから連想されるボルドー・スタイルのワインというよりは、やはり
ロッシュ・ビュイシエールのワインの特徴が出ています。
甘みを伴うタンニンが溶け込んでおり、溌剌さを感じるプティ・ジョーと比べて
重心の低い、重み、トロミを感じさせるワインです。しかし、丸みのある酸が
バランスを支えています。
中華風の餡かけやおたふくソースのお好み焼きなど、濃い目、甘めの味付けを
した料理を連想させました。

6:ル・クロー コート・デュ・ローヌ 2007(ロッシュ・ビュイシエール)
参考上代¥2,700

エッジに紫がかった色調の濃いルビー。
アメリカンチェリーなど黒系果実いっぱいのロッシュ・ビュイシエール香に
東洋的なスパイスやハーブ、ナツメグなどの香りも加わります。
グルナッシュ90%のワインですが、同じグルナッシュ主体のプティ・ジョー
と比べ、より複雑さが増し、口に含んだときの果実味が滑らかに大きく
広がります。余韻も適度に長く、ロッシュ・ビュイシエールの看板とも言える
ワインです。やはり味付けのハッキリとした食事を連想します。
八角を効かせた豚の角煮などいかがでしょうか。

7:ブルゴーニュ アリゴテ 2006(ラトゥール・ジロー)
参考上代¥2,000

緑がかった淡いイエロー。
抜栓した直後からハッとするような果実の香りが飛び出してくる。
オーク未使用だが、木樽を思わせるアミノ・カルボニル反応の香りも若干
あり、香りに奥行きを与えています。
口に含むと噛み応えのある溌剌とした柑橘類の酸味と果実味がいっぱい。
凝縮というよりはぎっしりと詰まっているニュアンス。余韻に少し塩っぽさ、
わずかなミネラル、長くはない。
凝縮感の強いモダンなアリゴテというよりは、クラシカルなアリゴテの延長
線上にあり、とてもよく出来たワインです。価格は、正直かなり安いと感じさ
せてくれます。
旨味のある酸味に合わせて、トマトの冷製カッペリーニ塩っぽい余韻を生か
して白身魚の塩焼きなどが食べたくなりました。
オルヴォースタッフMお薦めワイン

8:ブルゴーニュ シャルドネ 2006(ラトゥール・ジロー)
参考上代¥3,100

薄いイエロー。
スモーキー、オートミール、樽の香りが支配的、わずかにミネラル。
ACブルゴーニュとしては樽香をかなり強く感じる。
口に含むと、はじけるようなフレッシュな酸味を軸に肉付きのよい少し甘
みを感じる果実味。
トップに出てきたスモークの香りは口の中では綺麗にバランスを取っている。
余韻は長くはないが、典型的なムルソーらしさを感じさせる、なんちゃって
ムルソー的ワイン。
樽香の効いたシャルドネを食卓に…スタッフ間でも白熱した議論が展開され
ました。
ポークソテー、トリワサ、ごま豆腐、炙った白子など。。。

9:オー・コート・ド・ボーヌ ブラン 2007(アンリ・ドゥラグランジュ)
参考上代¥2,900

緑がかったイエロー。
若いシャルドネらしい香ばしさ、ゴマを炒ったような香り。
クリームビスケット、レモン系の香りではなくオレンジ系。溌剌としているが
穏やかな酸味、柔らかくしなやかな果実味があり、決して複雑さはないもの
の、先ほどのラトゥール・ジローとは対照的で、このクラスのワインとしては
かなり余韻が長い。
インパクトが強くないため、食事が欲しくなるタイプのワイン。
このワインに関してはクリームソースでは料理が強すぎるのではないかと
いう声があがり、議論のピークは最高潮へ。
個人的には家庭で作るドリアなんかがいいと思うのですが。。。

10:オー・コート・ド・ボーヌ ルージュ 2007(アンリ・ドゥラグランジュ)
参考上代¥2,900

輝きのある淡いガーネット。
東洋寺院の線香のような香り、酸を伴った赤系果実、挽きたての白コショウ、
日本のサクランボ、オレンジ、紅茶のニュアンス。透明感のある酸味、鋭角
的ではなくじんわりと赤系果実の味わいと相まって広がっていく。
アンリ・ドゥラグランジュには赤・白ともに共通するオレンジ系、紅茶系の香り。
余韻に細かめのタンニンがアクセントとなって感じられる。
抽出された果実味の強いワインが好きな人には不向きなタイプ。白同様に
食欲を刺激するワインです。
オレンジ、紅茶のニュアンスに合わせて、茶飯やサフランを用いた料理が
食べたい印象です。

11:オー・コート・ド・ボーヌ ルージュ 2007(ルージュ=キュー)
参考上代¥2,900

淡いガーネット。
日本のサクランボ、赤系果実、ベリー系ではなくチェリー系の香り、腐葉土、
コショウリリース当初に比べるとはるかにまとまりが出てきて落ち着いた印象。
旨味のある2007年らしい綺麗な酸味が支配的で柔らかい果実味がそれを
包んでいる。余韻もそれなりにあり、物足りなさを食事で補いたくなる食欲刺
激系ブルゴーニュ。

12:マランジュ 2007(ルージュ=キュー)
参考上代¥3,500

やや濃いめのガーネット。
苔桃、なめし革、アニマル系の香り、コショウ、果実と独特の立地を感じ
させる。
村名ブルゴーニュでありながら唯一、コート・ドール県に入らないマランジュ。
タンニンの量が明らかに多いが、綺麗に溶け込んでいるためさほど気には
ならない。同様に2007年らしい綺麗な酸味、果実味の柔らかいタッチが
ルージュ=キューの特徴を感じさせます。
タンニンの多いボルドー好きにも薦めてみたいワインです。
ストレートに赤身の肉をシンプルに焼いたものが連想されるワインです。

13:マルサネ ブラン 2004(ピエール・ブレ)
参考上代¥3,800

熟成を感じさせるやや深みのある黄色。
熟成したシャルドネらしい練れた香ばしい香り。樽香、ヨーグルト、奥に
ハチミツ。
若年寄的なワインを造るピエール・ブレのマルサネ・ブラン。
赤のイメージが強いピエール・ブレですが、白ワインは澱との接触の強さ
を感じさせる、澱がらみのような旨味の乗った味わいです。
余韻は長くはなくボーヌの村名のような特徴的なワインではないかもしれ
ませんが、練れたシャルドネらしさは存分にあり、価格を考えると面白い
選択肢のひとつです。

14:ジュヴレ・シャンベルタン クロ・ド・ラ・ジャスティス 2004(ピエール・ブレ)
参考上代¥6,800

エッジに褐色が入り始めた淡い淡いガーネット。
他の生産者に比べ、熟成が進んだのかと思わせる色調。
ピエール・ブレを象徴するモノポールであり、村名ジャスティスの中に文字
通りクロ(塀)に囲まれた区画。
なめし革、アンズなどのドライフルーツ、コショウなどのミックススパイス、
優しい香りだが芯の通った主張のある果実の香り。
アタックは非常に優しく、染みいるように入ってくるが、口に含むとしなや
かながら芯の通った果実の味わいがあり広がっていく。
奥に金属的なニュアンス、余韻にしっかりとしたアクセントとなるタンニン
へと続いていく美食家のためのワイン。
『クラシック』と一言で表現してしまうのはあまりにも安易に思える個性を
持ち、熟成したピノ・ノワールの魅力を感じさせてくれるワインです。
ピノ・ノワールは名前はノワール(黒)だけどもワインの色は黒ではないん
だよ、と言っていたピエール・ブレのヴァレ氏の言葉が印象的です。

15:ブルゴーニュ ピノ・ノワール 2006(パラン)
参考上代¥2,850

スミレ、赤と黒の混在した紫系の果実、スパイス、金属的なニュアンス。
きわめてバランスのとれた香り。
口に含むと柔らかな果実味がありますが、酸味がしっかりと引き締めて
おり筋肉質な構造。適度なふくらみがあり、タンニンも綺麗に馴染んでいる。
余韻までしっかりと味わいが残り、良い意味で中庸的なACブルゴーニュ。
砂肝や骨髄などを使った料理や、ナンプラーを使うような料理もありかもしれ
ません。
オルヴォースタッフKお薦めワイン

16:ボーヌ プルミエ・クリュ レ・ゼプノット 2006(パラン)
参考上代¥5,500

香りの時点で何層にも重なった黒系果実の香りが飛び出してきます。
樽のニュアンスも非常に自然に馴染んでおり、明らかにスケールの違いを
感じます。
このワインを語る上で少し区画の話に触れると、このレ・ゼプノット(Les
Epenottes)の区画はポマールとボーヌにまたがっており、ポマール側が
(Les Epenots)、ボーヌ側が(Les Epenottes)と呼ばれます。
ポマール最良の区画のひとつ、エプノーの特徴とされる凝縮感と柔らかな
エレガンスが同居した味わいがこのワインにもあります。
しかし、ポマールに見ることができる初期的な緻密、複雑な硬さはなく、
スケールの大きさの中に無理なく詰まった、圧倒的な情報量を持った
果実味があります。
当然、まだ若いので硬さはありますが、ボーヌのアペラシオンらしい良
い意味での緩さがあり、今からでも飲めるワインです。余韻も申し分なく、
価格を考えると、エプノーという最良のクリマの特徴を備えたお買い得な
ワインと言えるでしょう。

昔からブルゴーニュを飲まれているお客様から言わせると、現当主アンヌ
さんに代替わりする前は凡庸なイメージだったらしく、近年のパランのワイ
ンの完成度の高さに驚いていました。
料理の相性を議論した際も、贅沢しよう!だの、
一番良い牛肉を買う、といった意見ばかりで家庭料理云々の話にはなれ
ませんでした。
オルヴォースタッフMお薦めワイン

17:ブルゴーニュ ブラン レ・シャピトル 2006(シルヴァン・パタイユ)
参考上代¥3,300

甘い熟した果実の香り、ホワイトフルーツ、白桃、メロン、奥に柑橘類。
冷やしすぎると温度によって香りが全く立たない。
口に含むと冷涼感のあるミネラルがはっきりとした溌剌とした酸味に甘く
完熟した白い果実味、白桃がたっぷりと乗ってきます。
相反するように見えるふたつの要素がメリハリを利かせて同居しており、
大物感あふれる雰囲気があります。
しかしスケールの大きさと余韻の長さはACブルゴーニュです。
ホワイトアスパラガスにポーチ・ド・エッグを乗せて食べたくなりました。
オルヴォースタッフKお薦めワイン

18:ラドワ コート・ド・ボーヌ 2001(パラン)
参考上代¥4,000

エッジにかすかにオレンジがかった淡い赤。
ドライフラワー(バラ)、ドライフルーツ、ドライハーブ、金属的なニュアンス、
スパイス。綺麗に熟成したピノ・ノワール。アタックは優しい。
ボーヌの中でもニュイに近い最北に位置するラドワ。初期的なワインの
要素はほとんどほぐれており、熟成によって生まれた染みいるような果
実の甘みがあります。
中庸的ですが、構造はバランスがはっきりとわかりやすく、余韻に適度に
こなれたタンニンを感じます。
現当主アンヌ・パランさんの手腕が味わいに反映され出した頃のワインで、
複雑さ、スケールの大きさはそれなりですが、綺麗に熟成しておりまさに今、
飲み頃を迎え始めたワインです。
飲み頃ブルゴーニュの良さを感じさせてくれるリーズナブルなワインです。
試飲会 人気第1位

今回は適度に熟成したリーズナブルなワインに人気が集まりました。
また、弊社定番のクードレやロッシュ・ビュイシエールに対しても、改めて
長所を再認識していただけたと思います。
試飲会レポート、ご感想かせいただければ幸いです。

株式会社オルヴォー 村岡覚